筆跡がもたらす自己治癒の力

いつもと変わらない時間を過ごしているつもりでも、いつもと変わらないふりをしていても、
嫌なことも、こころが痛むこともたくさんあって。

そんなときって、自分を閉ざして外からの風をシャットアウトしたくなります。
なにも受け入れたくなくなる、もう傷つきたくないから。

けれど、そういうときこそ、ちゃんと受け入れる気持ちを持たないといけないのです。
(ということが、歳を重ねるとだんだんわかってきました。)

こんなときは自分を追い込みすぎず、なるべく穏やかなこころの状態で、無事に対岸(解決)へ自分を届けられるように、ふだんから本や映画や日常でみつけた小さな感動をメモしておいたストックを眺めます。

(このストック。自分の感情の動きのパターンがわかってくるだけでなく、自分に響くモノ・コトの標本にもなります。)

疲れたときや辛いことがあったときに、ストックしておいたそれらを、まるで調剤をするように読み直したり書き足したりして、痛くて仕方ない自分をメンテナンスします。

薬をつくるみたいに。

すると、だんだんと今の自分のみるべき視点が定まってきて、まわりを見ることができるようになるんです。

こうして、痛みと向き合った時に眺める自分の筆跡は自己治癒の自信となり、またこれからもノートに心の振動を蓄積していこうと、書き溜めていく動機にもなります。

傷ついたとき何よりも効く手当ては、これまで自分が悩んだり考えたり感じたりしたこと、そのものなのです。

ぜひ、お守りを集めるように、日々の感情を残してみてください。

自分の手書きの文字は、

書いても、
あとで読んでも、
忘れて置きっぱなしでも、

いつかの自分へのやさしいサポートになります。