音楽を「聴く」というより、
音がただ、わたしの中に“ひらいて”いく。
静けさの奥で、なにかが遠くまで届いていくような。
そんな展示空間に、立っていた。

音と音のあいだに浮遊している余韻が、
次の風景を連れてくるような。
どこか遠くにある、やわらかな静けさに触れる感じ。

音楽は、聴いているあいだよりも
終わったあとのほうが、心に浸透していく。

空間のなかに、静けさと光が交差していて、
その静けさも、光も、音の一部のように思えた。




風通しの良さも感じた。
どこかから流れてきた風が、どこかへ流れていくような。
その“抜け”に、なぜか安心したのだった。

うまく表現できないけれど、
「遠く」を思った。
自分の心が、もっと遠くを見たがって、
一直線に伸びていく。

でも、感じていたのは
遠くの何かじゃなくて、
すぐそばにある、自分の内側だった。
向こうじゃなくて、自分のなか。
言葉では半分も表せない、
いまもただ、ずっと静かに残ってる。








坂本龍一|音を視る 時を聴く
(東京都現代美術館)にて