【SMALL STORY】光彩

わたしたちが暮らし生きる時間の
うれしい・楽しい・悲しい・苦しい、の気持ちは
すべてあの星空へと昇華し、浄化されます。

ペンにふわりと落ちてきた温かい文字も
紙のうえに浮き出ては消された悪の言葉も
ヒラヒラと夜空へ舞い、平等にフラットな感情の光へと変わります。

やがて光は
地上で小さく暮らすわたしたちを
チラチラと照らしはじめるのです。

こうして日々
わたしたちから生みだされた感情は、夜空へと放たれ
「星」と呼ばれるようになります。

昨日、無意識に空を見上げたのは
昇華させ「星」となった自分の感情を、眺めるためだったのです。

わたしたちが、地球から星々の瞬きを見るように
星空からみれば、わたしたちひとりひとりが小さな星となって、細く瞬いているのかもしれません。

だとすれば、わたしたちは誰一人余すことなく
地上に佇むひとつの小さな灯台なのです。

意志があって
体温があって
感情のある、
吹けば飛んでしまいそうな小さな灯台。

その、ひとつひとつの小さな存在は
昨日も今日も、心をふるわせ生きています。

これから先も、心を波動させて生きていくのです。

わたしたちは生きているかぎり感情を生みだし
星空に光をおくります。

一方、星空は地上からの光を受け取り
より輝かせ
わたしたちに返して魅せる。

− あなたが放つ光は美しい −

と。

感動なんて大げさなものでなくていい
寝る前に思い出すたわいもないことでいい

夜空へと放つ光を秘めるあなたは、わたしは、
今日も明日もしあわせ。

今日も夜がやってきます。

あなたという光が、彼方の夜空を輝かせるのです。