【時代はタイパ】それでも「書く習慣」はやめられない

電車でタスクを確認する

少し前までは「コスパ」、つまりコストパフォーマンスが流行っていましたが、今はタイパの時代といわれています。

タイムパフォーマンス。
これは時間対効果のことで、費やした時間に対してどれくらいの効果があるかを表す言葉です。

『映画を早送りで観る人たち』という本がベストセラーになっていることからも、現在はタイパ色が強いことがわかります。

さて、このタイパですが、
「書く」という習慣で考えるとどうでしょう。

この習慣、私の場合タイパの真逆をいっている気がします・・・。

手帳・ノートは時間をかける管理ツール

書く習慣のある人は、手帳やノート好きな人が多いです。
日常に「書くこと」が溶け込んでいると、そのための環境や心地にもこだわりが出てきますね。

手帳は、一般的には「管理」をしていくツールです。

それは、
スケジュールだったり、
生活リズムだったり、
人生という長いスパンで考える自分の在り方だったり、
今の自分を知るためのリストだったり。

手帳の効果を体感するには、とても時間がかかります。

それも、すぐに目に見えて現れるものでもなく、ある程度の先を見据えて今をコントロールするものばかり。

一方、すぐに現れる効果もありますね。

まず、筆欲が満たされます。
紙に文字が埋まります。
インクが減ります。
はい、満足(笑

また、
手帳やノートを前に、自分を相手に対話をする充実もあります。
これもリアルタイムで感じられる満足です。

けれど手帳が持つ可能性の醍醐味を考えると、やはりタイパとは言い難いように思います。

(ちなみに、革の手帳を使っていると「経年変化」という楽しみもあったりします)

書くことを続けるコツを知っている人たち

書く習慣のある人たちは、
「積み重ねていくことに価値がある」
と考える人が多いのかもしれません。

もちろん、手帳を開くと自分の気分が上がるとか、システム手帳ならいろんなリフィルを選んでみたい、自分仕様にカスタムするのが好き、手帳を書いている自分の姿に惚れ惚れなど、

筆記以外の目的や楽しみ方もあります。

けれど、それだけでは手帳は続かない。

自分を成長させたい、という欲求の形が手帳に表れているように思います。
そして、そこに喜びを感じられるスキルがあるのです。

子どもが初めて書いた鏡文字の「まま」の紙を手帳に入れておくのも、
簡単なカロリー表も、
本を読んだ時にサッと走り書きした言葉の書き抜きも、
見返したら、まるで暗号で読めない自分の文字も、

どれも「あの時、未来の自分へ残しておきたいこと」だったはずです。

手帳の中に蓄えられたあれこれは、
今すぐにどうのというのではなく、少し先の将来へなんとなく届けたいものばかりなのではないでしょうか。

息子がはじめて書いた「まま」(一番左に書かれている鏡文字)いつも手帳に入れてるお守りです

手帳は答えを出す場。どんな答え?

現代は、検索をすれば大抵のことは何でも出てきます。

知らない土地でも自分が今どこにいるのか、GPSで最寄りの駅もわかります。
買う前にレビューもたくさん見ることができる。
計算を写メすれば、アプリが答えを出してくれる。
最近は、AIが論文もレポートも書いてくれるとか。

けれど、検索しても決して出てこないものもあります。
「わたしの内」です。

自分が今、何を感じ、何を考え、思い、悩み、
どうしたいのか、どうして欲しいのか。

検索しても出てこない、謎の自分。
一番近くにいて、一番厄介な自分。

答えなんて出てこないんです。

「手帳が好き」でいっぱいの人にとって手帳は、答えを出す場所なのではないかな。

「答えは出さなくてもいい」という答えを、手帳の中に持っているのだと思います。

だから、長く手帳ライフを続けられるし、手帳沼に深くドボンしたまま「困った困った」と言いながらも出くる気配がありません(笑

やっぱり「書く習慣」にタイパって違うみたい

手帳を広げ、自分の小さく読みにくい文字を見て、こころの中でつぶやきます。

タイパ、
それなんですか?

終わりのない「書く習慣」の旅が、今日も楽しくて仕方ない。

そして思うのです。
やっぱり私は、書く人が好きなんだ、と。

自分の芽吹きを信じて、楽しみながら時を待つことができる人たちを。

「書くこと」
おすすめしたい。

不器用で自分を上手く伝えられない人、
周囲をいろいろ考えて自分の意見を押し込めてしまう人、
アイデアはあるのに挙手できないでいる人、

そんな人こそ、手帳やノートに興味を持ってほしいし、もっと掘っていってほしい。

そこに自分の世界を作って、自分を泳がせてあげてほしい。

いつの間にか心が開放されて、自分に自信が持ててることに気づくから。
周囲や環境は変えられなくても、自身に変化が出ていることが分かるから。
(私がそうでした。)

大好きな村上春樹氏も言っています。

完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。

風の歌を聴け(村上春樹)

以下、少〜し目を細めてどうぞ◎

完璧な手帳などといったものは存在しない。
完璧な自分が存在しないようにね。

ペン先の囁きを聴け(mayu “村上春樹氏オマージュの意を込めて”より)

ほら。

ね、ね(笑

(書きヲタ話に、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました☆)